アインシュタイン=シラードの手紙(1939)

1939年に、アインシュタインとレオ・シラードはアメリカのフランクリン・D・ルーズベルト大統領に手紙を送り、核分裂反応に基づくナチス・ドイツによる原爆開発の可能性について警告した。
この手紙のテキストおよび画像が下記で公開されている。

 

この手紙は、「マンハッタン計画のきっかけとなった」との評価が一般的であるが、Wellerstein(2014)は”But neither E=mc² nor the Einstein-Szilard letter were as central to the Manhattan Project’s success as people realize — either scientifically or historically.”[しかし科学的視点から見ても、歴史的視点から見ても、E=mc²もアインシュタイン=シラードの手紙も、マンハッタン計画の成功の中心的存在ではなかった。]とし、”The magnification of Einstein’s role was purposefully encouraged by the government in the immediate period after using the weapon. (And it was even a convenient myth for Einstein, as it magnified his own importance and thus potential influence.) “[アインシュタインの役割の誇張は、原爆使用の後になり、政府によって意図的に奨励されたものである。(そしてそれはアインシュタインにとって都合の良い神話でさえあった。)]と述べている。すなわちWellerstein(2014)は通説に対して、「多数の市民を殺傷した原爆投下に対する批判に対抗し、アメリカ政府による原爆開発の正当化をするために、アインシュタイン=シラードの手紙が後になって利用された」という趣旨の反論をおこなっている。

 

なおこの手紙の中で言及されている爆弾は、広島・長崎に実際に投下された飛行機に搭載可能な大きさのものではなく、もっと大型の爆弾であり、船で運んで港で爆発させることを想定したものであった。

This phenomenon would also lead to the construction of bombs, and it is conceivable—though much less certain—that extremely powerful bombs of a new type may thus be constructed. A single bomb of this type, carried by boat and exploded in a port, might very well destroy the whole port together with some of the surrounding territory. However, such bombs might very well prove to be too heavy for transportation by air.[このような現象は爆弾の製造につながるであろう。確実であるとまでは言えないが、極めて強力な新型爆弾が製造できるであろうと思われる。この種の爆弾を船で運び港で爆発させれば、たった一発でも港全体とその周辺の領土の一部を破壊することができるであろう。ただし爆弾は、あまりにも重すぎて飛行機で運べない可能性が極めて高い。]

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